工程の安定性を評価するときに使われる「管理図」ですが、何個か種類があるのをご存知ですか。
代表的な管理図は、R管理図とS管理図です。
これらは、Xbar-R管理図やXbar-S管理図として使われることがあります。
Xbarはx̄ つまり、Xの平均を表します。
さてRとSとはなんでしょうか。
どちらもばらつきを表す管理図として使われるのですが、
具体的に何がちがうのか、どのように使い分けたら良いのかご紹介します。
R管理図とS管理図は見た目では判断できない
さて、次の管理図①と②ですが、どちらがR管理図だと思いますか?
実は、R管理図かS管理図かはグラフの結果だけを見ても判断できないようになっています。
上の結果は、左がR管理図、右がS管理図となります。
R管理図とS管理図は縦軸が異なる
さて、先程の画像を改めて見てみてください。
データ点プロットが異なるのは明らかですが、もう一つ異なる点があります。
それは縦軸の表記です。
左側のR管理図は「サンプル範囲」、右側のS管理図は「サンプル標準偏差」と書かれています。
これがR管理図とS管理図の決定的な違いとなります。
R管理図とは、R = Range(範囲)の頭文字です。
S管理図とは、S = standard deviation(標準偏差)の頭文字です。
もう少し詳しく見ていきましょう。
R,S管理図とはサブグループ内のばらつきを表す
R,S管理図のプロット点はデータ1点を表すわけではありません。
次のようになっています。
青い点が管理図のプロット点です。
グレーの点は、管理図には表示されていない、1つ1つのデータ点となります。
例えば横軸C2にはグレー点が10個あります。
その代表値が青い点になっています。
つまり、管理図の点はあくまで代表値となるのです。
その時、
R管理図では、グレー点の最小と最大の範囲をプロット
S管理図では、グレー点の標準偏差をプロットしています。
これがRとS管理図の違いになります。
どのように使い分けるのか?
使い分けは明確です。
先程グレー点は10個ありました。そのグレー点のことをサブグループサイズと言います。
サブグループサイズが8以下の場合は、R管理図を使います。
サブグループサイズが9以上である場合は、S管理図を使います。
サブグループサイズが8以下の場合、サンプル数が少ないので標準偏差を計算しても、1点の外れ値などに大きく影響を受けてしまいばらつきが大きくなりやすいです。そのため簡易的なR(範囲)が使われます。
サンプルが9以上の場合は、標準偏差を計算しても大きくばらつかないことがわかっておりますので、標準偏差を使用します。
皆様が管理図を作る時、サブグループに該当するサンプル数がいくつかを判断する必要があります。例えば1ロット5個の製品が製造されて、それを管理図で評価したい場合はR管理図を使う必要があります。
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